
日蓮大聖人の弟子・檀那にとって、一年で最も重要な法要が「御会式(おえしき)」です。
御会式とは、日蓮大聖人が弘安5年(1282年)年10月13日、武州池上(現在の東京都大田区)の右衛門太夫宗仲の館において御入滅あそばされ、滅・不滅の三世常住(さんぜじょうじゅう)の相を示されたことをお祝いする法要です。
御本仏・日蓮大聖人の御入滅は「非滅の滅」であって、寂滅(じゃくめつ)の相を示された御生命は、 「日蓮がたましひ(魂)をすみ(墨)にそめながしてかきて候ぞ」(御書685頁) との御金言のように、本門戒壇(ほんもんかいだん)の大御本尊として厳然と住せられ、常に衆生を導き、教えを説かれ、利益(りやく)を与えられているのです。
御会式では、この御本仏の尊い御境界(ごきょうがい)を、そのまま儀式の上に拝します。 御会式の法要では、御住職様と6人の御尊師様方によって、『立正安国論(りっしょうあんこくろん)』ならびに『御申状(おんもうしじょう=国家諫暁<かんぎょう>の書)』が奉読(ほうどく)されます。この奉読こそ、他の日蓮門下の遠く及ばない、日蓮正宗独特の意義深いものです。
日蓮大聖人の御化導(ごけどう)の目的は「正法治国(しょうぼうじこく)」にあり、これを述べられたのが『立正安国論』です。つまり、大聖人のご精神は折伏(しゃくぶく)にあるのです。よって、そのご精神を身をもって示された代々の御法主上人(ごほっすしょうにん)の御申状の奉読の儀こそ、大聖人の教えそのものを表現しています。またこの仏法によってのみ、一切衆生の真の安穏世界が築かれることをも表しているのです。
御尊師様方が御申状を読み終わったとき、参詣者一同が異口同音(いくどうおん)に題目三唱することによって、御会式に参詣した人すべてが一人ももれなく、自ら御申状を奉読したことになります。このことにより、大聖人のご精神をわが精神とし、広宣流布へ向かって精進することを、参詣者一同が御本仏大聖人様にお誓い申し上げているのです。
このように御会式とは、日蓮大聖人様の滅・不滅の甚深(じんじん)の御境界を拝して心から御報恩を申し上げ、さらに御本仏様の大慈大悲を現代に示しつつ、広布に向かっての一層の精進を誓う、誠に重要な法要です。
このような御会式は、700年来、日蓮大聖人の正義(しょうぎ)を清浄(しょうじょう)なままに護持し続けてきた日蓮正宗以外では、絶対に奉修できない儀式であるといえます。